南米's diary

2016年9月〜2017年3月頭まで南米を旅する無職な二人の愉快な日記。

ほぼ登山初体験の二人が雪山・ビジャリカ火山を登ってみた

Hola! すっごく久しぶりの更新になってしまいました……(反省)。今回はタイムリーな更新です! つい3日前にプコンにあるビジャリカ火山を登ってきました。まりあたんは屋久島で縄文杉へ到達する登山を一度経験しており、私は中学生の時に学校の授業の一環で軽い登山(?)をして、「高い! 怖い!(がくぶる)」と思った記憶があります。つまり、二人とも登山はザ・初心者。しかも、雪山の登山は初めてです。そんな二人が果敢にも挑戦した今回の登山。どんな結末を迎えたのでしょうか。ぜひ、最後までご一読ください。ビジャリカ火山の写真のみはこちら(ビジャリカ火山を(途中まで)登ってみた|無職|note)から。

古き良き田舎・プコンへ到着

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ビジャリカ火山の登山ツアーが数多くある街・プコンへ私たちが着いたのは、3日の朝のことでした。2日の夜に夜行バスに乗りサンティアゴを離れ、約10時間バスに揺られました。サンティアゴと180度景色が異なる、自然いっぱいのプコンはあいにくの雨。寒さにブルブルしながら、グーグルマップを片手にAirbnbで借りた家まで歩きます。約15分ほどで着くはずなのに、歩いても歩いても家が見当たらない。あー、もうこんなに寒いのに家が見つからないなんてぷんすこだぞ! と不機嫌になりながら、うろうろしていると、道端に止まっている車の中から男性が私に声をかけてきました。

男性「おーい! どうしたんだい?」(何を言っているのかわからなかったもの、雰囲気で脳内翻訳しました)

私「ここの場所に行きたいのですが、道がわからなくて……」

男性「あー、ここは……。うーん、あっちだよ、あっち! 〇〇ホテルの向かい側だよ!」

私「わっ! 本当ですか! ありがとうございます! このご恩は一生忘れません!」

と家の場所を教えてもらい、無事にたどり着くことができました。プコンの人はなんて優しいのだうるうる。今回、泊まる家は家主夫婦が住んでおり、空いている部屋を貸してもらうスタイルです。どうやってこの家の中に入ればいいのだろう(インターフォンがない)……と家の前をうろうろしていた私たちに家主が気づき、中に案内してくれました。家の中はとてもきれいです。部屋も小ぎれいでベッドは二つもある! いえーい! 大喜びの二人です。

部屋で一休みした二人は街へ出かけることにしました。目的は、ビジャリカ火山の登山ツアーに申し込むためです。地図でよく調べず勢いで街へ出てきてしまったので、また迷子になりました。道をうろうろしていると今度は、分厚い本を片手に持った顔立ちが日本人っぽい男性が声をかけてきました。

男性「なにか助けが必要ですか?」(英語で)

私「えっと、ビジャリカ火山の登山ツアーに申し込みたいのですが、ツアー会社がどこにあるのかわからなくて……」

男性「それならあっちだよ! 僕が案内してあげるよ!」

なんと、また優しい人に出くわしました。プコンに住んでいる人たちは素晴らしい人たちばかりですね。しかも彼は途中で日本語で私たちに話しかけてきて驚きました。それなりに上手な日本語です。聞くところによると、彼の祖母はブラジルに移住してきた日本人だそうです。なぜ彼が日本語を話せたのか納得です。ツアーに申し込む際の注意点(天候が悪くて登山ができない場合にお金が返ってくるかどうかなど)も教えてくれて、とても親切な人でした。

早速いくつかのツアー会社を訪ねてみます。最初の場所。

ツアー会社の人(?)「うーん、ここじゃなくて違うところのツアーがいいよ!」

ほへ?

違うツアー会社の人(?)「今は担当の人がいないんだ。明日来てくれ!」

え?

またまた違うツアー会社の人「ここは7000ペソよ!」

おおー! 三度目の正直! しかも安いぞ! 安くてテンションが上がった私たちはここで申し込むことにし、申し込みの書類(数枚)にリズムよくサインをしてきます。さて、残りはお金を払うだけ。どれどれ、二人で……。

え? 15万ペソ? ん? あれ? 一人7000ペソだよね? んんん?

あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

そういえば、このツアー会社の人、さっき「英語で数字(値段)を言うのは苦手でね(てへぺろ)」って言ってたぞ。てことは、きっと7000ペソは7万ペソの間違いってことだ……。7000ペソだと思っていたものが、本当は7万ぺソだったと知り、二人は明らかにテンションが下がり、「ちょっと手持ちの現金がないので、お金下ろしてきますね……(本当)」と言い残りその場を去りました。そして、お金を下ろしてその足で違うツアー会社に行きました。

第四のツアー会社「7万ペソだよ!」

やっぱり、7万ペソが相場なのかな〜と思っていたところに、温泉プラス登山で8万ペソのツアー会社を発見しました。これはお得だ! と思い、そこで申し込むことに決めました。さっきのツアー会社には後ほどキャンセルの旨を伝えに行きました。少し申し訳なさがあったのですが、「キャンセル? おーけーおーけ! 全然大丈夫だよ!」といったテンションで返されてほっとしました。

温泉は登山の前日に行ったのですが、ここでは割愛します。いよいよ、登山の話に突入したいと思います。

登山当日

5日(土)の午前6時半。まだ街が眠っている時間にツアー会社に集合します。そこでバックパック、ヘルメット、サングラス、靴、アイゼン、ピッケル、手袋、ウェア上下を貸してもらいました。同じツアーに参加する人は私たちを含めて8人くらいいます。その中に、普段着のチェックのシャツに普段着のズボンを履いた男性がいました。とてもこれから登山をしますといった格好には思えません。ちょっとそこまで買い物に行ってくるねといったテンションの服装です。その上からウェアを着るとはいえ、その服装で大丈夫なのかこっちが心配になってきました……。

ツアー会社からバスが出発したのが7時すぎです(大抵、誰か遅れる)。そこから約30分かけてビジャリカ火山まで行きます。現地に着き、まずはリフトのある場所まで歩きます。

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ここの道には雪がないのでまだ余裕……かと思っていたら、疲れました。もうすでに疲れました。バスの中では「リフトは乗らなくていいよね! 歩くよね!」と話していた私たちですが、「リフト乗るよね? ね? 疲れたよね?」と意見が一致し、1万ペソ払ってリフトに乗ることにしました。

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いざ、リフトへ

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リフトに乗ると言ったはいいものの、怖い……。怖いよーーーーーーーーーーーーーーー。無理ーーーーーーーーーーーーーー。私たちは高所恐怖症です。荷物を前に抱えてぴょこっとリフトに乗った瞬間、恐怖が私たちを襲ってきました。死んじゃう。無理。怖い。

まりあたん「下を見ちゃダメだよ……」

私「う、うん……。写真撮ろうと思ったけど、無理だね、これ。身動き取れないね。怖くて死にそう」

まりあたん「ねっ……」

リフトの枠を握る手に力が入りすぎ、痛くなってきました。なんで私たちはリフトに乗ってしまったのでしょう。えっと、なんでだっけ? 怖すぎて何も考えられなくなりました。このリフトはどこまで行くのだろう。地獄まで……?

心がどっかに行ってしまいました。いつの間にか目の前にはリフトの降り場が。スキーやスノボーの板がある状態でリフトは降りたことがあるものの、己の体のみの状態でスキー&スノボー用のリフトを降りたことなどありません。失敗したら死んじゃう……。ネガティブな考えが頭をよぎりますが、降り口に係りの人がいて降りる補佐をしてくれていることに気がつきほっとしました。体を抱きかかえられながらすたすたすたっと無事に降りることに成功しました。よかった……。

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しかし、本当の試練はここからでした。

いよいよ、本当の登山開始

リフトを降りたということは、ここから雪山登山が開始されるということです。ガイドの人が注意点を話してくれました。転がったときは、ピッケルをこうやるんだぜ! などと……あぁ、転がることがあるのかなと少し不安になりました。

最初はみんなから遅れないように頑張って歩いていた私たちですが、数分もすれば前の人たちとの距離はみるみる開いていきました。雪山を登るのは予想以上に疲れる。というか、もう疲れた。頂上まで登るなんて無理だよ……。登山開始早々、私の心の中には諦めモードが漂っています。歩けば歩くほど、斜面の角度は大きくなり、足を滑らせて転がったら死ぬな、と思いました。

「滑ったら死ぬ。滑ったら死ぬ。滑ったら死ぬ」。まるで呪文のように唱え、細心の注意を払いながらゆっくりと登っていきます。途中でガイドさんが私たちの手を取りながら、優しく誘導してくれました。

もう何十時間歩いたことでしょう(おそらく数十分です)。ようやく最初の休憩地点に到着しました。着いて早々、私たちは、「無理だよね? これ以上登るの無理だよね?」とお互いの意思を確認し合い、「うん。無理」との結論を出しました。

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ガイドさんに「もう無理です。降ります」と伝え、降りるまでの間しばし休憩を取ります。そこから初めて目の前を見てみると、素晴らしい光景が広がっており、少しだけ感動しました(感動に恐怖が勝る)。

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 しばし休憩をしたところで、イケメンガイドが右手に私、左手にまりあたんという両手に花状態でさらに低いところにある休憩地点まで連れて行ってくれました。まりあたんによると彼は登山客に会うたびに「この子たち、死ぬほどビビってるよ!」と話しかけていたそうです。そうだよ!!!!!!!!!!!!!! 死ぬほどビビってるよ!!!!!!!! 転げ落ちたら死んじゃうもん!!!!!!!! くぅううううううううううう!!!!!!! ちなみに、下山するときにアイゼンをつけてくれたのですが、登るときにもつけてほしかったです……。

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これがあるのとないのでは、だいぶ滑りが違います。最初からこれをつけていれば、もう少し登れたかもしれないのに! と私たちはぷんすこしました。ぷんすこしながらも楽しそうな写真はばっちり撮ってもらいました。f:id:en_chile:20161108224144j:plain

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そんなこんなで、彼と手をつなぎながら、無事に休憩地点に着き、ここでガイドはおじさんガイドに交代みたいです。頼もしそうなイケメンガイドがぽっちゃりおじさんに……大丈夫かな。イケメンガイドはちゃっかりおじさんガイドにも「この子たち、死ぬほど怖がっているからよろしくね!」と言っていました。くぅうううううううううううううううう。さらに、その休憩地点にいた下山予定の女性が「この子たちはどうしたの?」とイケメンガイドに聞き、「あぁ、この子たちは死ぬほど怖がっているから下山するんだぜ!」と、「死ぬほど怖がっている」を連発する彼。

まりあたん「そんなに言わなくてもいいじゃん!!!!!!ぷんすこ」

はい。死ぬほど怖がっている私たちは、おじさんガイドとその女性とともに再び下山を始めます。さっきよりは緩やかになってきた斜面。どんどん進みます。疲れます。疲れました。下るのは大変やぁ……。

こんなに楽しいソリは初めてや!

数十分下ったところで、いよいよソリ(?)の出番です! ソリといっても、ただのプラスティックの板です。それの上にお尻を乗っけて、山をすいすい下山するのです。プラスティックの板で下山するには少し急斜面な気がしますが、そんなことは関係ない! もうコースができているからそこに沿って滑ればいいだけ。おじさんガイドが先頭で、その次が私、そしてまりあたん、さっきの女性という順番です。

ポケットにしまっていたカメラはバックパックの中にしまうように言われたので、残念ながら滑っているときの写真や映像はありません。しかし、結論からいうと、とっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっても楽しかったです!!!!!!!!!!! 滑り初めは少し怖かったのですが、慣れてくると、もうびゅんびゅんとスピードを出して滑ることができます。びゅんびゅんびゅん〜すいすいす〜〜〜〜〜いっと。4人でくっついて滑ってみたりもしてとても楽しかったです! 恐怖の登山の最後に、こんなに楽しいことが待っているとは思わず、神に感謝ですね。

ソリ(?)で土の地面付近まで滑り、そこから先は徒歩で車のあるところまで歩きました。小屋で少し休憩し(おじさんガイドと女性がたそがれていた)、車に乗ってプコンに戻り、今回の登山は無事に終わりを告げました。

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濡れたウェアを乾かす(登山玄人ぽっい)。ちなみに、右下にある緑色のプラスティックがソリ(?)です。

家までの帰り道、障害者の人が提供するパスタ屋が開催されていたので買ってみました。パスタと飲み物がついて2000ペソで、そこそこおいしかったです(ソースが少し足りなかった)。結構人が並んでいて、やはり海外の人はこういったことにも進んで参加するのだなと思いました。

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さて、終わりよければすべてよし! 次回の登山予定は永遠に訪れないかもしれませんが、今日は大満足な1日でした! アディオス!