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南米's diary

2016年9月〜2017年3月頭まで南米を旅する無職な二人の愉快な日記。

ティム・バートンとアレハンドロ・ホドロフスキーの映画を観て

Hola! 皆さんご存じの通り、私は映画を観ることが好きなので(詳しくはないです)チリでもばっちり映画を観ていますよ! 今日は、先日観てきたテム・バートンの新作『ミス・ぺレグリンと奇妙なこどもたち』とアレハンドロ・ホドロフスキーの新作『エンドレス・ポエトリー』の感想を書いていきたいと思います。ちなみに、両作品とも日本での公開は来年です。早く観ることができてラッキー。

ただただ楽しめたティム・バートンの新作

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映画好きと言いつつも、ティム・バートンの今までの作品は観たことがありませんでした。唯一、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』を劇場で観たような気がしたのですが、調べてみたら劇場公開は1993年で、もし私が本当に観ていたとするなら、当時の私は1歳ということになります。驚異の記憶力ですね。と、ティム・バートンの作品を古い順に調べながらブログを書いていたら、見つけました。私が劇場で観た本当の作品を。『ティム・バートンのコープスブライド』です。ビジュアルが『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』と似ていますね。間違えるはずです。しかも、13歳のときに観たので忘れるはずです(正当化)。

チャーリーとチョコレート工場』すら観たことのない、ティム・バートン初心者の私が今回、『ミス・ぺレグリンと奇妙なこどもたち』を観て率直に思ったことは「わくわくする。楽しい」です。まさに、エンターテインメントです。ティム・バートンはこんなに素晴らしい作品をつくる人だったなんて今までまったく知りませんでした。

吹き替えではなく、スペイン語字幕で観たので、キャストたちは英語で演じています。細部は理解できませんでしたが、大枠は理解できました。端的に表すと「少年が奇妙なこどもたちと力を合わせて悪を倒す話」です。実に単純なストーリーだと思われるかもしれませんが、わくわく要素が至ることろにあり終始わくわくしましたわくわく。

奇妙なこどもたち

まず、奇妙なこどもたちですが、おのおの使える能力があり、それらがとてもわくわくするのです。手の温度が高すぎて何かに触るだけですぐに発火する少女や、体が軽すぎて重りをつけていないとすぐに宙に浮いてしまう少女(ビジュアルがとてもかわいい)、目を見てしまうと相手を石に変えてしまう双子のこども(ビジュアルが怖い……)たちなど、設定が面白いです。

こどもたちが能力を使って日常生活を送っているさまは「うわぁ、いいなぁ。ナチュラルに能力使って生活しているぅ。うらやましい!」となり、悪を倒すさまは「うわぁ! わくわく! ドキドキ! すごい!」となります。

ラブストーリーも

ストーリーには、主人公の少年と体が軽すぎて〜の少女のラブストーリーも盛り込まれています。物語が進むごとに徐々に近づく二人の距離。あぁ、二人の唇が触れてしまう……あぁ、ついに……(両手で目を覆い隠す)。バタンッ! おきまりのごとく、二人の唇の仲を切り裂くタイミングの悪い他のこどもたち。

最終的にはどんでん返しのハッピーエンドになるので安心してください。ちなみに、東京(確か東京だったはず)も出てきました。なんの話かわからないかと思いますが、映画を最後まで観れば「TOKYO!!」と思わず声が出てしまうでしょう。

チリ流の映画鑑賞?!

ティム・バートンの映画は、サンティアゴの大きなショッピングセンターなら大抵は入っているであろう映画館「Cineplanet」で観ました。平日の昼間だったので人はまばらです。料金は確か4000ペソ(約647円)で、日本の映画館と同様に自分で好きな席を選べました。席のシートは少し硬いものの許容範囲内です。

上映時間になりコマーシャルなり、他の映画の予告なりが流れ始めます。ここで私はある点に気がつきました。それは、場内の明かりが暗くならないことです。あれ? 明るいよね? チリの映画館って暗くならないのかな? とたくさんの「?」が頭に浮かび、その間に映画は本編に突入しました。

ということは、そういう仕様なのか。なんか変なの。と思っていたら、階段を駆け下りる少年が目に入りました。映画開始早々、トイレかな? と思ったのですが、その少年は壁際のスイッチをポチッと押し、その瞬間、場内が暗くなり、「ヒューーーーー!(拍手)」といった歓喜の声が後ろから聞こえてきました。場内が暗くならなかったのは、おそらくスタッフがボタンを押しに来なかったからだなと理解しました。いい加減なスタッフだな……。

ここで質問です。あなたは、映画の最後に流れてくるエンドロールはしっかりすべてみて、完全に映画が終わってから席を立ちますか? 私は、すべてみてから席を立つ派です。音楽を楽しみたいし、「家に帰るまでが遠足」と同じく、「エンドロールが終わるまでが映画」だと思っているので、完全に映画が終わるまで席にお尻が張り付いた状態で待ちます。

そうです。今回もそうしようと思ったのに、周りの人はエンドロールが始まった途端どんどん席を立ちます。ただでさえ、少ない観客がさらに少なくなっていきます。数十秒後には掃除のスタッフまで入ってきて、辺りを見渡すと私以外誰もいません。

スタッフは完全に「これから掃除します」の構えです。1秒後にでも掃除を始めそうです。小心者の私は「あわわっ」となり、エンドロールがまだ途中にもかかわず、席を立ってしまいました。あぁ、最後まで居たかったのに……と悲しくなり、のろのろと歩みを進め、その場をあとにしました……。

人生の師・ホドロフスキーの新作
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やってきました。私の大好きなホドロフスキーの新作。『エンドレス・ポエトリー』です。ホドロフスキーといえば、『エル・トポ』に代表される偉大なカルト映画の創作主です!! 『エンドレス・ポエトリー』の前編である、『リアリティのダンス』も日本にいたときに劇場でばっちり観ました。

雰囲気と内容が好きすぎてもう、「あぁ……(昇天)」となりました。今回はサンティアゴのモネダ宮殿の地下にある「Centro Cultural La Moneda」で映画を観てきました。ここには1カ所だけ映画を上映できるスペースがあり、そこで日々、いろいろな映画が上映されているらしいです。

大きな映画館では上映されておらず、しかも上映が1日に1回しかないのです。ホドロフスキーはチリ出身の偉大な人物であるにもかかわらず、この小さな扱い……。チリの友達に「ホドちゃんって知っている?」と聞いても、「知ってるけど詳しくはない〜」と興味がなさげな返事がきました。少しだけ残念な気持ちになりました。

さて、気を取り直して映画の話に移りたいと思います。この映画はもちろんスペイン語で作成されており、字幕はなしです。詳しい内容はほぼわからなかったのですが、雰囲気で「こういうことを言っているのだろうな〜」と想像することはできました。

スペイン語がわからずとも、ホドロフスキーの映画は素晴らしいのです! 観終わったあとに「あぁ、芸術って素晴らしい……」と感じ、しばし放心状態になりました。なんだかよくわからないけれど(話の大枠はわかる)、心にぐっとくるものがあるのです。というか、ぐっとしかきません。ぐっときすぎて、心が破裂するかと思いました。

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「現実」と「虚構」

まりあたんはスペイン語がわかるので、私よりも話の内容が理解できたと思うのですが、「うーん、よくわからなかった。何が現実で何が創作なのかわからない」と。この感想に私はその場では、「全部現実だよ!」と適当に答え、「え? 家が燃えていたのも?」と返され、「うーん、それはわからない……」などど、自分の適当さを改めて実感したのですが、よくよく考えてみると、「現実」と「虚構」を入り混ぜることこそが、ホドロフスキーの真骨頂なのだと思いました。

以前、寺山修司作の舞台『レミング~世界の涯まで連れてって~』を観たのですが、そこでも「現実」と「虚構」が入り混ざっていて何が現実で何が虚構なのかわからなくなるような演出になっていました。「現実」と「虚構」を混ぜた先にあるものは、たどり着くものは何なのか。それらを表現することで何を彼らは伝えたかったのか。現実とは? 虚構とは? 今、私が見ている世界は現実なのだろうか、それとも虚構なのだろうか。

よくわからなくなってきました。私のような凡人には頭を悩ませることで精いっぱいで、その先の解までたどり着くにはまだまだ頑張りが足りなさそうです。とりあえず、ホドロフスキーの新作『エンドレス・ポエトリー』はとてもよいということだけは伝えておきたいです。成長する過程でできた父親とのわだかまりが完全には解消できず、さらに父親の死に目にあえなかった後悔がずっと胸にあり、今回の映画でようやく自分を癒すことができたホドロフスキー

今、映画について調べていて判明したのですが、なんと今回の新作の撮影監督はあのクリストファー・ドイルらしいです。すごい……。テンションが上がりますね(と言いつつも、詳しくは知らないけど……)。クリストファー・ドイルといえば、2014年の東京国際映画祭で絶賛された浅野忠信主演の『壊れた心』(残念ながらいまだ劇場未公開……のはず)の撮影監督でもあります。今回の新作は大物たちが携わってできた傑作なのですね。ホドロフスキーの出身地・チリでこの映画を観ることができてとてもうれしかったです。

まさかの出会い

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さらに、上映後にロビーに出ると、ホドロフスキーの少年時代を演じていたイェレミアス・ハースコヴィッツ(Jeremias Herskovits)がそこに立っていたのです!! 最初は誰だか定かではなかったのですが、一緒に写真を撮っている人がいて、あれ? もしかして? と思い始め、やばい私も一緒に写真を撮りたい! となったのですが、声をかける勇気がなく、周りをうろうろ……。

すると、彼と一緒にいた関係者の人が「写真を撮りたいのかい?」と私に声をかけてくれ、「そうです!!!!!」と力強くうなずき、一緒に写真を撮ることができました! 幸せ……。この日は私の誕生日だったのですが、まさかホドロフスキーの映画を観ることができて、そのうえ役者さんと一緒に写真を撮ることができるだなんて……。日頃の行いがよいおかげですね。

ティム・バートンホドロフスキー

2作品を比べてみて気がついたのですが、ティム・バートンの作品はいわゆる娯楽で、ホドロフスキーの作品は己の創作意欲をかき立てるものになっていました。ティム・バートンの映画が娯楽として素晴らしくとても楽しめたのは言うまでもないのですが、ホドロフスキーの映画を観た日は、本当、芸術って素晴らしいなと実感させられた1日でした。アディオス!