南米's diary

2016年9月〜2017年3月頭まで南米を旅する無職な二人の愉快な日記。

まりあたんは無事に家に帰れるのか?! まさかの点滴地獄(下)

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今回で「まりあたんおなかいたた三部作」は終わりを迎えます。長々と書きつづりましたが、最後の章をご一読ください。

病院へ戻った私が目にした光景

ペットボトルの水3本を抱え、大急ぎで大荷物で病院へと戻ると、ベッドに横たわるまりあたんの姿が……? と思いきや、起き上がって不満そうな顔をしています。

まりあたん「3つ目の点滴は速度を速められて20分くらいで終わって、次の点滴ももう終わったのに、誰も注射の針を腕から抜いてくれないの! 腕が痛いのに!」とのこと。

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なんと、私がもぐもぐとおなかの空きを満たしているうちに点滴が2本も終わって、まりあたんに少しだけ元気が戻っていたとは! 点滴を4本も打てば、元気も少しは出るし、腕も痛くなりますよね。看護師に「点滴終わったよ!」とアピールしてもそのまま放置の状態が続いているようです。どうやら、ここは私が看護師に目で合図をするしかなさそうです。ちらちら。ちらちら。看護師と目が合い、こちらに向かってきました。

点滴が終わっていることを確認し、まりあたんの腕から針を……抜かない! 抜かずにまた去っていってしまいました。ぐぬぬ。もう腕から針を抜くことは諦め、まりあたんと仲良く談笑します。

やはり医師は偉大だった

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「そういえば、あの医師歴40年ですって顔のおじさん、いい人だったよ。夜勤の看護師が患者のそばを離れていた時があったみたいで、すごく怒ってたの。二度とこんなことするんじゃないぞ! って感じで」

それを聞いた私は、やっぱり医師ってすごいんだな。あのおじさんは、人を助ける使命感を忘れておらず、とても志の高い人なのだなと思い、感動しました。また、朝方いた若い医師はやる気がなさそうに見えたけれども、このおじさんのような人が一人でもこの病院にいることに安心感を覚えました。さらに続けて、

「あと、斜め前の人はやっぱり、悪い人かも。ベッドに足かせ(重り)ついてるし、あの人に対してだけみんな扱いが雑なの。それに、めぐたんがいない間にテレビ局がたくさん来て撮影してたの。あのおじさん医師にもインタビューしてたよ」と。

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本当だ、ベッドに足かせ……。この時は、悪いことをして逃げ回ったすえにけがをしたのかと想像しましたが、のちにこの人物は娘殺しの殺人犯で刑務所に入れられていたところ、ほかの受刑者から暴行を受け、ここに運ばれてきたのだと判明しました(Agreden al padre de la niña Abigaíl y lo dejan en coma - La Razón)。罪を犯した人の中でもランク付けがあるのですかね。「娘殺し」だから、刑務所内で瀕死になるほどの暴力を受けたのかなと。

てか、殺人犯と同じ病室って! ちょいこわっ!(相手は瀕死で動けないからちょいこわいです)

ここからまただらだらと、尿検査の結果がまだこないとか、けんちゃん食堂はGoodだったよとか、たわいもない会話をしていると、ついにあのおじさん医師がやってきました。

ツーデイズ、セブンデイズ

「やあ、元気かい?」みたいなノリでやってきたおじさん医師。もう点滴も終わり、おなかの状態もたいぶよくなってきたそうなので、いよいよまりあたん解放の準備に入りました。家で服用する薬の名前を紙に書き、スペイン語で説明すると思いきや、ちょこっとスペイン語をしゃべったあとは、私に向けて「ツーデイズ、セブンデイズ」とひたすら言ってきます。「この薬は、ツーデイズ、セブンデイズだよ」と。おぉ……よくわからないけど、わかったよ!

このおじさん医師の英語力は私よりもあいまいなものです。最初に、「What do you born?」と聞かれましたので(笑)。

それでも一生懸命、誠実に優しく話しかけてくるさまは、とても好感を持てました。薬をもらう場所を教えてくれるらしく、おじさん医師と一緒に扉の外に出ると、マスコミに囲まれる私たち! さっきの殺人者の件でおじさん医師に話を聞こうとしているのです。おじさん医師は私に「あそこを曲がってあそこでお会計をして……」と丁寧に説明してくれ、じゃ行ってくるね! と彼に告げ歩みを進めると、すぐさま彼を取り囲むマスコミたち。やはり、彼は偉い人なのかも……!

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おじさん医師に教えてもらった病院内の薬局で無事に薬をもらうことができました(本当は途中でもらい方がわからなくなり、薬剤師らしき女性に助けてもらった)。もらった薬を見てみると、14錠ありました。ツーデイズ、セブンデイズと言っていたのは、1日2錠で7日間ということか! と合点がいきました。

何でも屋めぐたん

まりあたんのところに戻ると、マスコミから解放されたおじさん医師が手に尿検査の結果を持ち何やら話しています。どうやら、尿検査の結果に異常は見られなかったようです。

おじさん医師「この結果はあげるよ! コピーを取ってきて!」

と、何でも屋の私は今度はコピーを取りに再び外へとダッシュします。病院の向かい側にコピー屋さんはたくさんあるので一番近いところに行き、「へい! コピー1枚!」と頼み、出来上がったコピーを持ち、すぐさま病院へ帰ります。

私「おじさん! コピー取ってきたよ!」

原本とコピーしたものをおじさんに渡すと、なんと原本を私たちにくれました。「原本くれていいのかい!」とツッコムことは控えました。

ここでなぜか、おじさん医師は華麗にいなくなり、残された私たちは「あれ? 帰っていいの?」状態です。近くにいた看護師に「帰っていいですか?」と聞くと「いいわよ!」と言われたので、まりあたんが10時間ぶりに己の足で立ち、地面を踏みしめる時がいよいよやってきました。点滴はいつの間にか外され、いつもより軽くなった体でベッドから旅立ちます。

まりあたん「よっこらしょっと」

私たちに目もくれない看護師たちに別れを告げ、外への扉を開けます。そこに広がっていた光景とは……?!

またまたマスコミにインタビューされているおじさん医師です。何回されるのだ! インタビュー中に悪いなと思いながらも、まだちゃんとお礼が言えていなかったので、「ありがとう!」と二人で言い、おのおの握手をしてもらいました。インタビュー中のおじさん医師は、私たちに接する時の優しそうな笑顔とは一転して、真剣そのものでした。あぁ、これぞ医師だ……と最後にまた感動し、涙が涙が……。

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ホテルが違う?!

さて、感動したとこでタクシーを拾いホテルに戻ります。ホテルの住所を運転手に伝え、揺られること約10分。着いた場所は、あれ? ここ私たちが泊まっているホテルでないよね? と。名前は同じだけれども、外装が明らかに違います。もしかしたら、ホテルの裏側なのかなと思い、タクシーを一旦降りて、ホテルの中に入り確認してみます。受付の人に住所を見せると「ここよ!」と力強く言われ(でも、明らかに内装も違う)、あぁここなのか……と半信半疑のまま、まりあたんに「ここだって……!」と伝えます。

二人でタクシーを降り、再び受付に向かうも明らかに違う内容に不信感を隠せないまりあたん。

やはり、詳しく話を聞いてみたところここは私たちが泊まっているホテルではありませんでした。なんと、ほぼ同じ名前のホテルだったのです。ここは「Hostal Austria (オスタル オーストリア)」、私たちが泊まっているホテルは「Hostal Astoria(オスタル アストリア)」です。

このブログ(上)の序盤で、「予約したのに、予約がないと言われた!」と書きましたが、それは正しかったのです。なぜなら、宿が違うから。今いる宿が正しい宿で、受付に自分の名前で予約が入っていないか聞いてみたところ、ありました。私の名前が。それはキャンセルにしてもらい、ここの宿を去ります。私たちが泊まっている宿を目指し。

そうです。今まで、Aという宿に泊まっていると思ったら、実はBという宿で、その宿の住所はもちろん持っていないのです。ちなみに、宿を間違えたのはバスターミナルから乗ったタクシー運転手です。ちゃんと住所と名前を見せたのに……今泊まっている宿の住所がまったくわからないかつ、今いる場所すらもわからない(初めてきた場所)状態です。さらに、まりあたんは病み上がり。この状態でどうやって宿に行けばいいのか……。

まさかの救世主

とりあえず、大通りまで歩き、お店の人に聞いてみます。「近くに映画館があって、青い看板のHostal Astoriaって宿を知りませんか?」と。皆「知らないわ」と……。自力で行くのは諦めます。私がバスターミナルからホテルまでの道順は覚えていたので、バスでいったんバスターミナルまで行き、そこからタクシーに乗る手段を取るか、あるいはタクシー運転手にダメもとで聞いてみるか……。

それにしても、バスもタクシーもまったくつかまりません。走っている数は多いのですが、どれも満員だったり人が乗っていたりで、止まってくれません。道の真ん中の歩行者ゾーンでたたずむ二人。十数分たち、やっとタクシーが止まってくれました。まりあたんがダメもとで宿の場所を聞いてみると、「ガソリンスタンドが近くにあるところかい?」と。

ガソリンスタンド! ありました! 「シーシー!(Yes, Yes)」

この運転手さんすごい。期待に胸を膨らませながら乗車していると、ついに宿が!! すごすぎる。感動です。この人は命の恩人なので、料金12ボリビアーノのところ、20ボリビアーノあげました。宿に帰れないかもと思っていたので、本当に助かりました。

この宿探しの旅で約1時間は消費し、結局宿に着いたのは午後5時を過ぎていました。朝から夕方までてんやわんやだったので、さすがに疲れた二人はその夜ぐっすりと寝て、次の日もゆっくりと起床したのでした。終わり。

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