南米's diary

2016年9月〜2017年3月頭まで南米を旅する無職な二人の愉快な日記。

ESTA申請しましたか?

チリ最後のHola! 私たちは、現地時間3月2日の午後9時50分の飛行機に乗り、米国経由で日本に帰国する……予定でした。しかし、予定はしょせん予定にすぎません。だって、私は3日の午後4時時点で一人で、たった一人でまだ空港にいるのですから!

米国入国に必要なもの

サンティアゴではチリ人の友達の家に1週間と少し泊めてもらい、大いに楽しい生活を送ることができました。一緒にご飯を食べ、一緒に街へ出かけて、一緒に飲んで、一緒に……。日々の生活が楽しかった分、最後の別れがよりいっそう心に響きました。

「またチリに来るからね!」「日本にも行くから!」とお互い声をかけあい、空港とは逆方向の電車に乗り込みました。逆方向? そうです。間違えて逆方向の電車に乗ってしまったので、次の駅で降りて正しいものに乗り換えました。

最後の最後まで時間をロスするようなハプニングが起こるなぁ……とのんきに思いました。このあと空港で史上最大のハプニングが訪れるとも知らずに。

空港に着いてまず行うことはチェックインです。私はパスポートが新しくなっているので、まりあたんだけ先に搭乗券を発券し、私は預け荷物の窓口で直接発券します。午後6時になり、ようやく窓口が開きました。まりあたんと私は別々の列に並び(私は搭乗券を持っていないので)、自分の番が来るのを静かに待ちます。

愛想のよいお姉さんに案内され、係りの人にパスポートを手渡します。パスポート番号が変わっているので、盗難証明書も手渡します。そして、預け荷物の重さを計ってみると20.5キロでした。多分ギリギリセーフだぜ!(20キロまでOK) などと心の中で喜んでいると……「米国のビザは?」と一言。

私「え? 米国のビザ? ESTAは前に申請したはずだけど……」

係「新しいパスポート番号で申請した?」

私「あ……ああああああああああああああああああ! してない!」

係「あそこにあるパソコンでできるからしておいで」

パスポート番号が変わったことにより、再びESTAの申請が必要だったとは、まったく考えていませんでした。ESTAの存在自体をすっかり忘れていました。フリーWi-Fiがあるので、自分のスマホで急いでESTAの申請をします。申請が通るには最大で72時間かかるそうで、あと2時間半以内にどうにか申請が通ることを、ただただ祈ることしかできません。

デルタ空港の窓口の人に事情を説明するも、「申請が通るのを待つしかない」と。その人はとても優しくて、何度も何度もESTAの申請が通っているかどうか確認してくれました。しかしその度返ってくるのは、非常な現実を告げる「まだだね……」の言葉のみ。ESTA問題が起きる前は、「上の階でビュッフェ食べる?! ビュッフェ! ビュッフェ!」などとはしゃいでいた二人だったのですが、私はもう「ちーん」という感じで意気消沈です。

しかしそれでもおなかは空くもので、腹ごしらえのためレストランへ入り、おいしいハンバーガーを食べました。おいしいハンバーガーを食べても時は止まってくれず、タイムリミットは迫ってくるもので、あと十数分後にはチェックインが締め切られます。まりあたんは、もう出国ゲートをくぐらねばなりません。ここでまりあたんと「じゃあねっ!」と軽いお別れをし、私はデルタ空港の窓口へと向かいます。

私「私のESTAは?! 私のESTAの申請は通った?!」

デルタ「まだだね……」

ちーん。

デ「明日の航空券取る?」

私「ま、まだ……。あと数分ある! もうちょっとだけ待つね!」

デ「わかった! いつでも声をかけてね!」

数分後。ダメだ……。もういちるの望みもない……。諦めて明日の同じ時間の航空券を取ることにします。ESTAの申請がつ通るかわからないので、明日の予約は仮予約ということにしてくれました。気がきくぜ! しかも、「日本円で6000円ちょっとだよ〜」と日本円の金額まで提示してくれて、人間って優しいね、うぅ……と人の優しさに泣きました。

結果的に、申請が通ったのは飛行機が旅立ったあとの午後10時40分で、「あぁ、あぁ、し、申請がぁ……」とスマホの画面を眺め、再び涙を流しました。

サンティアゴ国際空港は24時間営業だとわかったので、私はこのまま空港で明日の夜まで過ごすことに決めました。少しのワクワクした気持ちと、警戒した気持ちとともにベンチで横になります。今日は寝ません。寝ている間に盗難にでもあったらもう立ち直れないからです。私は絶対に寝ません。ぜぇぇぇぇったいに、寝ません。ぜぇぇぇ……ぐーぐー……。

いやー、周りを見たら無防備に寝ている人が多くて私もつられて寝てしまいました。一応、リュックをまくらにしたり、腕にリュックの紐を巻きつけたりして寝たので、無事に何事もなくすやすや寝ることができました。空港内は少し寒く、ベンチは固く、決して寝心地がよかったとは言えませんが。

今、この記事を書いている時刻は日本時間だと4日の午前5時近くになります。あと1時間後にはチケットの本予約をして、チェックインをして、無事に飛行機に乗る準備が整うでしょう。もうこれ以上、何も起こらないことを切に願います。それでは、皆さんも祈りをお願いします! ではでは、日本で会いましょう!